歯科医にとってPISAの算出は負担

● 国際機構のエクセルは使いづらい

  PISAは、歯1本あたり6カ所ずつ歯周ポケットの深さをプローブで測り(図)、その際に出血した箇所の数を歯ごとに数え、国際機構が無料配布しているエクセル(下図)に入力すると弾き出されます。


 しかし、このエクセル、入力したいセルに毎回カーソルを合わせる必要があり、また歯周ポケットの深さを入力する場所と出血の箇所数を入力する場所が離れていて行ったり来たりになるため、検査と同時並行は不可能で、メモを取っておいて事後に入力せざるを得ません。

● レセコンや電子カルテに算出させるには追加費用が発生する

 歯科医が日常的に使っている電子カルテやレセコンでPISAを算出するには、システム改修が必要で費用も発生します。

● 保険の要求より検査が面倒

 健康保険では、歯1本あたり4カ所の歯周ポケット計測と出血の確認、歯の動揺度確認、プラーク付着の程度の確認を行うと、1回4千円の診療報酬請求が可能です。
 PISAを計算するためには、歯1本あたり6カ所調べないといけません。手間が1.5倍になります。

● 人件費は増えるけれど収入は増えない

 検査自体の手間が保険の要求より多いことに加えて、もし国際機構のエクセルを使ってPISAを計算するなら、事後にメモから転記する必要もあります。転記箇所は200以上あり1つ3秒としても10分以上必要です。転記ミスが心配ですし、何より人件費がかかります。それなのにPISAを計算しても、歯科医の収入は増えません。

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